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2004/09/05

欠陥商品

『心室中隔欠損症(しんしつちゅうかくけっそんしょう)』
そう診断されたのは、生後2ヶ月健診のときだったそうだ。

『心室中隔欠損症』というのは、心臓の右心室と左心室の間の壁(中隔)に穴が開いて(欠損して)いる先天性心奇形だ(同様のもので、心房中隔欠損症というのもある)。
そんなに珍しいものではなく、聴診器をあてると雑音が聞こえることで判明するらしい。
穴が小さいものだと成長とともに自然とふさがる確立が高いが、穴が大きい場合は要外科的手術となる。

患部の状態(穴の大小)を調べるには、心臓カテーテルという方法を用いる。
腕や頚部、足の付け根(「コマネチ!」のところ(笑))などを一部切開し、そこから動脈(または静脈)にカテーテル(細く柔軟なチューブ)を心臓まで入れ、患部の状態を診断したり、治療したりする。

さすがに生後2ヶ月では血管が細すぎてカテーテル検査ができないため、しばらく様子を見つつ、4歳(幼稚園年少。当時は2年保育)の時に1ヶ月検査入院した。

(注:今回の記事は長いです・・・)

母ちゃんに手を引かれ、ワケもわからず横浜にある『こども医療センター』へ。
理由を訊くと「検査入院する」とのこと。(4歳児に「検査」とか「入院」って言ってもわかんないって、母ちゃん(^^;)
頭の中が「?」でいっぱいのまま、とある部屋のベッドに案内された。

部屋の一番奥のベッドには私よりもちょっと小さい女の子がいた。Mちゃんという名前だった。
Mちゃんは重い心臓病だったそうで、胸の真ん中に縦に大きな縫い目(手術跡)があった。
看護婦さんが入れ替り立ち替り来ては、ガーゼを替えたり、様子を伺いに来て、優しい言葉をかけていく。

新入りで、しかも病気で入院しているのではない私のところには、看護婦さんはほとんど来なかった。
当時は面会時間が限られていて(しかも病室では会えず、面会用の部屋で衛生のため白い服を来て会わなければならなかったとか)、両親もなかなか面会には来られなかったらしい(3つ違いの兄貴の面倒もみなきゃいけないしね)。
きっとひどく寂しかったに違いないのに、私は誰にも何も言わなかった。
看護婦さんがいっぱい来てくれるMちゃんをちょっとうらやましいなと思いながら、毎日ベッドの上でぬり絵をしていた。

食事の時間になると、入院している子供たちは1カ所(食堂?)に集められる。
ごはんはどんぶり飯だった。(4歳児にどんぶり飯っつーのもなんだかなぁ・・・)
食が細かった私には食べ切れるワケがなく、しかたなく、毎回ごはんを残していた。
でも、デザートは別腹(笑)。
食後のプリンやゼリーは残さず食べる私に、ある看護婦が吐き捨てるように言った。「まったくこの子はごはん食べないで、デザートばっかり食べて!」
(確か、ほぼ毎回言われていた気がする・・・。)

知らないところに連れてこられて(しかも連れてこられた理由もわからず)、知らない人に囲まれて、誰とも喋れない、笑えない、怒れない、泣けない日々・・・
そこに追い討ちをかけるような看護婦の言葉。
ますます孤立していく・・・

ある日、いつの間にか手術台の上にいた。
やけに眠い。
手術室の大きなライトがまぶしくて目が開けていられない(のかと思ってたケド、本当は全身麻酔が効いてたらしい(笑))。
でも、これからココで何かされるから、寝たらいけないんだと思い、必死で目を開けようとした。
ダメだ、眠い・・・
お医者らしき男性が顔をのぞき込む。
私が耐えられずに「寝てもイイですか?」と訊くと、その人は笑いながら「イイですよ」と言った。
私は安心して眠った。
(我ながら、純粋でかわいかったの~(笑))

気が付くと、病室のベッドの上にいた。
右足の付け根にデカいガーゼが貼られていて、思うように足が動かせなくなっていた。
トイレ行きたい・・・
でも、ベッドは落下防止用の柵で囲まれていて(ベビーベッドみたいな感じ。ベッド自体も高い)、どうやって柵を下げるのか分からない。
乗り越えようとしたが、傷がツレて痛いし、ガーゼが邪魔して足が上がらなかった。
(誰も教えてくれなかったので、ナースコールなんてものの存在は知らない。っつーか、そんなのなかったかも・・・)

ちょうどそこに、Mちゃんのところに来た看護婦さんが病室から出ようと、ドアのほうに向かって歩いてきた。
私の中で『看護婦』という存在は、すっかり「コワイもの・苦手なもの」となっていたが、勇気を出して声をかけてみた。
「あのぉ・・・」
その看護婦は、「何よ!」という感じで私を見た。
私は恐る恐る切り出した。「うんちしたい・・・」
看護婦は、「えぇーっ!?」と言って、明らかに「ったく面倒くさいわね」という顔をした。
「ちょっと待ってなさい!」
そう言って、その看護婦はどこかに行った。

Mちゃんにはいつもニコニコしてるのに、私には何であんなに冷たいの?
私が病気じゃないから?
私だって好きでこんなところにいるワケじゃないのに・・・!

そう思っていると、さっきの看護婦が戻ってきた。
「じゃあ、ここ(ベッドの上)でいいから、コレにしなさい」
そう言われ、医療用のトレイ(っていうのかな?飛行機用の枕みたいな、ピーナッツの殻みたいな、真ん中が凹んでる銀色のヤツ)を渡された。
え゛?コレにするの??ココで???しかもアンタの目の前で????
いくら4歳児だって、布団の上でうんちしたらダメだということはよーく分かっている。(まぁ、布団にするワケぢゃないケド・・・)
しかも赤ん坊じゃあるまいし、人前でそんなことできるワケがない!
私はただトイレに連れて行ってもらえるだけでヨカッタのに・・・

看護婦に「早くしなさいよ」みたいなことを言われ(この看護婦、Sなのかも・・・(^^;)、渋々しようとするが、そんな状況ぢゃ、出るモンも出なくなってしまう。
結果、うさぎのようなコロっとしたのが2~3コ・・・
それを見て、看護婦は「コレだけぇ?」と言って大笑いした。
子供心にものすごーく傷ついた。(泣)
もう何があっても看護婦には絶対に言うもんか!

それ以来、夜中にトイレに行きたくなっても誰にも言わなかった。
足の付け根のガーゼが邪魔で歩きにくくても、廊下が真っ暗でめちゃめちゃコワくても、傷がツレて痛くても我慢して柵を乗り越え、独りでトイレに行って帰ってきた。
(自分でいうのもナンだけど、よくがんばったなぁ・・・。タイムマシンがあったら、励ましてトイレに連れて行ってあげたいくらい・・・)

子供心に、親を心配させたらいけないと思ったのか、病院であったことはこの歳になるまでずっと黙っていた。
(母ちゃんは、こども病院の看護婦さんだから、当然優しくしてもらっていると思って安心してたらしい。)
今思い出しても悔しくて悲しくて泣けてくる。
このクソ看護婦!
子供いじめて楽しいのか!
こども病院の看護婦がやることか!

人格形成に一番大事な時期に、看護婦に受けたひどい仕打ち。
おかげで、それ以来人嫌いだ。
一匹狼でイイ。人に頼らなくたって自分でできる。
女性らしい細やかな気遣いもできないし、かわいらしく甘えるのもアホくさいと思えてしまう。
仕事も一人で黙々とこなしているほうが気が楽だしはかどる。
(可愛げのねー女だな(^^;)
でも、忙しくなってきてヘルプして欲しくても、性格上他の人に頼めない・・・
お店で売場が分からなくてもなかなか店員さんに訊けない・・・
初対面の人には自分から声をかけられない・・・
人間としては「欠陥商品」だ。

そんな私に声をかけて友達になってくれた人たちや、いつもフォローしてくれる師匠には心から感謝している。
ありがとう!

ちなみに、カテーテル検査の結果、欠損は針の先くらいで、その後無事に自然治癒しましたとさ。
めでたし、めでたし(^-^)
(でも、まだ右足の付け根に縫い目が残ってるんスよ~っ。お医者は「そのうち消えますよ」って言ってたのに・・・。うそつき~っ!)

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コメント

こんばんは、涼 です。

読んでいて、泣きました。ゴメンナサイ、今はこれだけ。

投稿: | 2004/09/05 21:55

涼さん、こんばんは。
読んで下さってありがとうございました。
泣かせてしまってごめんなさい・・・

投稿: アリス | 2004/09/05 22:51

アリスさん、こむばんわ♪

私も、小学生の時、ある担任教師のおかげで人嫌いになりました。
自分のメンツばかりを気にし、偉くなることだけを考えていた女性教師・・・。二度と会いたくありません。
あんな教師がいるのなら、自分が教師になってやる!と思い、大学は教育学部に進みました。
結局、現在はいわゆるOLをしていますが(笑)。
でも、今の職場は好きだし、良い上司にも恵まれよかったと思っています。ちなみに、私も仕事は人に頼めない性格です(笑)。
でも、こんな自分でも受け入れてくれる人たち(多くはいませんが)のおかげで毎日を過ごせています。
なるべく周りに合わせる努力はしていますが、どうしても合わない人は「関わらない」。これに尽きますね~(笑)

アリスさん。
「欠陥商品」だなんて思わないで。
それをいうならさくたんなんて「超欠陥商品」ですし(笑)
自分は自分。
他人と比較されるものではないって、今はそう思えるようになりました。

投稿: さくたん | 2004/09/06 00:08

アリスさん、

やはりひとことでは言えませんが、子育てのことなど思い出してしまったのです。
子どもの矜持って、相当なものがありますね。
単に心配かけたくないということなのかしら。


投稿: | 2004/09/06 00:33

 おはようございます。

 4歳のアリスちゃんの気持ちがストレートに伝わってきて、心が痛い。その健気さがいとおしい。4歳の子どもがこんなにもいろいろ考えていること、大人は忘れちゃうんですね。

 でもでも、欠陥商品なんてとんでもない! アリスさんの文章には、あたたかい人柄がにじみ出ていますよ。まわりの人に素直に感謝できるなんて、素敵なことです。自信を持って、生きていきましょうね(自分にも言い聞かせている)。

 心臓がよくなって、本当によかったですね! 足の傷も心の傷もそのうち消えますよ、きっと。

投稿: Tompei | 2004/09/06 09:06

さくたんさん、涼さん、Tompeiさん おはようございます。

# さくたんさん
いますよね~、そーゆーイヤな先生。
教師や医者や看護士などの職業の人の言動って影響力大ですモンね。

> それをいうならさくたんなんて「超欠陥商品」ですし(笑)

じゃあ、あたし「超超超欠陥商品」!
・・・って、おまいは小学生か(笑) >自分

ちなみに、私ゃ『適職診断』で必ずと言ってイイほど「サラリーマン(会社勤め)は向いていません。」っていう結果が出るんですよ。(協調性がないから?)
やっぱり漫画家かイラストレータになればヨカッタかも・・・(なんちて(笑))


# 涼さん
生後2ヶ月で「心臓に穴が開いてる」って言われた両親のショックも相当なものだったと思います。
ちなみにウチの兄は「鎖骨が折れてます。」と言われたとか。
(それも自然治癒しましたが。)
子育てってホント大変ですね・・・
両親に感謝!です。


# Tompeiさん

> でもでも、欠陥商品なんてとんでもない! アリスさんの文章には、あたたかい
> 人柄がにじみ出ていますよ。

ありがとうございます(^-^)
これもひとえにまわりの方々のおかげです。

これからも、blogを通して私の成長ぶり(?)を見守って下さいね!
(ツッコミ大歓迎~(笑))

投稿: アリス | 2004/09/06 10:06

お早うございます。

∥これからも、blogを通して私の成長ぶり(?)を見守って下さい

笑わせてくれて、ありがとう。

いまだ「成長期」の 涼 より!

投稿: | 2004/09/06 11:28

涼さん、早速ツッコミありがとうございます(^▽^)

> いまだ「成長期」

私も今まで157cm台でしたが、今年の健康診断で158cm台になりまして・・・
え?「何が?」って?身長が・・・(笑)

精神的に成長せぃっ >自分(^^;

投稿: アリス | 2004/09/06 12:14

アリスさん、こんにちは。
夕べ、これを読んだ後に意識不明になりました。(笑)

子供のころに感じた強烈な思いというのは、残っちゃいますよね。だけど、アリスさんは回りにとてもいい人がいたんだね。良かった。

へいぽーのアリスさんのイメージ(blogからね)
幸せの種まき。うん、そういうイメージだよ。

投稿: へいぽー | 2004/09/06 17:15

へいぽーさん、岐阜まで遠征(?)お疲れさまでした。

> 子供のころに感じた強烈な思いというのは、残っちゃいますよね。

ホント・・・
せっかく恥をしのんで、頑張って銀色のトレイにうんちしたのに笑われるなんて・・・(悲)

> だけど、アリスさんは回りにとてもいい人がいたんだね。良かった。

そーなんですよ!
今の私があるのも、その人たちのおかげです(^-^)

> へいぽーのアリスさんのイメージ(blogからね)
> 幸せの種まき。うん、そういうイメージだよ。

くうぅ~っ、嬉しいこと言ってくれちゃいますね!
種をまいたらせっせと育てねば!(`・ω・´)
そーいえば、会社で育ててるミニにんじんと細ねぎはどーなったかな?

投稿: アリス | 2004/09/06 17:37

こんにちはー。
ベットの上で用を足すのって経験してみないと分からないけど、出ないんですよね~・・・。
私も入院した時に髄液を取られて、1日絶対安静にしなくちゃいけなくて、初めてベットの上で尿瓶を使いました。
ギリギリまでガマンして看護婦さんにお願いしたんですけど、目の前に女性がいるのにできませんよねー。(笑)
それに不思議と寝たままだと出ないんです。
小さい頃、あんなにオネショしたのになぁ。(笑)

私は、強さと優しさを持っている女性が好きです☆
アリスさんはそういう人かなって勝手に思ってまーす♪

投稿: style-TK | 2004/09/07 16:58

アリスさん,こんばんは~。

う~ん,そんな看護師さんがいるんですね。それもこども病院に。許せない!!

そんな人のために,アリスさんの人生がちょっと影響を受けちゃったとしたらすごくもったいないですよ~。

4歳のアリスちゃんに「こわくないよ~」って言ってあげてトイレに連れていってあげてください。そんで,「世の中,悪い人もいるけど,いい人もいっぱいいるぞ~」って言ってあげて下さいね~。

投稿: える | 2004/09/07 22:15

style-TKさん、こんばんは!

> ベットの上で用を足すのって経験してみないと分からないけど、
> 出ないんですよね~・・・。

そーなんですよねぇ。

> 小さい頃、あんなにオネショしたのになぁ。(笑)

オネショは無意識(寝ている間)ですしね(^^;

> 私は、強さと優しさを持っている女性が好きです☆
> アリスさんはそういう人かなって勝手に思ってまーす♪

うひゃ~っ 照れますなぁ(///^▽^///) でも嬉しい!
style-TKさんのイメージを壊さないように がむばります(笑)

style-TKさんって、ウチの兄と同い年なんですよ。
一方的に親しみわいてます~(^-^)

投稿: アリス | 2004/09/07 22:18

えるさん、こんばんは!

> 4歳のアリスちゃんに「こわくないよ~」って言ってあげてトイレに
> 連れていってあげてください。そんで,「世の中,悪い人もいるけど,
> いい人もいっぱいいるぞ~」って言ってあげて下さいね~。

ありがとうございます。
うーん、デロリアン(『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のタイムマシン)欲しい・・・

皆さん、暖かいコメントありがとうございました。
めちゃめちゃ嬉しいです!
自分がそういうことをされたことがキッカケで、人にはそういうことをしない人間になれたことは、人生の大きな収穫です(^-^)

投稿: アリス | 2004/09/07 22:23

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