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2004/09/19

親父[2]

この記事をお読みになる前に、親父[1]をお読み下さい。
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一番最初に違和感を感じたのは、首にできた小さなシコリのようなものだったそうだ。
『家庭の医学』で調べてみたところ、首にシコリができるのは、肺か上咽喉(喉の上部)のガンからの転移とのこと。
私が実家に戻る前に、親父は母ちゃんと横須賀K病院へ。
内科でシコリを取って調べてみた結果を、担当医はあっさりと親父本人に言った。
「いいものではありませんね。」
(それって、「あなたは悪性のガンです」って言ってるのと同じじゃん!ガンの告知をそんなにあっさり患者本人にするの!?患者の気持ちも考えないで!)

お医者の教科書に載っている症状とこの担当医の経験から、肺上部か上咽喉のガンと診断。
その部分のX線やCTを撮ったが、ガンは見つからず。
上咽喉のガンはCT等には写らないこともあるそうで、すっかり『上咽頭のガン』だと決めつけられ、内科から耳鼻咽喉科に移され、その治療が行なわれた。

点滴による抗がん剤の投与を24時間と、頚部(シコリ部分)への放射線治療。
それを3週間ぶっ続けで行ない、2週間休む という過酷な治療で、もともとスリムだった体がますます細くなった。
それに、タダでさえ少なかった髪の毛が更に抜けた。
頑張って食事しても、副作用ですべて吐いてしまう。
体力ばかりが落ち、一向によくなる気配はない。
それでも、親父は頑張って治療に励んでいた。

治療のない2週間は自宅に帰って来られた。
(この際、送り迎えする必要があったので、独り暮らしをやめて実家に戻った。一目惚れしたスズキの四駆 エスクードを購入。)
職場復帰する予定だったので、スーツに合う帽子を買いに行ったり、日帰りだが3人で箱根に旅行にも行った。
温泉の効用が書いてあるプレートに、「血行が良くなりガン細胞の成長が早まる恐れがありますので、ガンの方はご遠慮下さい」(だったかな?)というようなことが書いてあったので、母ちゃんに「マズイんじゃない?」と言ったら、「イイよ。お父さんも喜んでるから」と言った。
散々反抗して親不孝してたから、やっとちょっとだけ親孝行できた気がした。
でも、皮肉にも、これが親父との最後の旅行になった。

親父は、病院でも家でも食べては吐く状態が続いた。
口癖のように「オレはもうダメだ・・・」と言う親父。
「そんなこと言ってちゃ治るモンも治んねーぞ!『病は気から』って言うべ?」(横須賀弁?(笑))と発破をかけても、弱気な発言を繰り返す親父に腹が立ち、つい「そんなに治りたくなきゃさっさと死んでくれよ!」と言ってしまった。
(我ながらひどいムスメだなぁ・・・)
頑固で負けず嫌いな親父なら、この言葉に「なにくそ!」と奮起して、病気と闘ってくれると思った。
でも、親父は「あぁ、死ぬよ・・・」と寂しそうにつぶやいた。
「勝手にしろっ!」
吐き捨てるようにそう言うと、部屋に閉じこもった。
悔しくて悲しくて大泣きした。
何でだよ、親父!治ろうと思えよ!生きろよ!


親父[3]に続く

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